スリランカの女性建築家と公営住宅建築をテーマにした企画展「88 Acres: The Watapuluwa Housing Scheme by Minnette De Silva(88エーカー:ミネット・デ・シルヴァによるワタプルワ住宅計画)」が現在、コロンボの「Museum of Modern and Contemporary Art Sri Lanka(スリランカ近現代美術館)」(Crescat Boulevard, 89 Colombo-Galle Main Rd, Colombo 03)で開催されている。
1918年、スリランカ丘陵部のキャンディ(Kandy)に生まれたデ・シルヴァさん。国内のほかインドや英国で建築技術を学び、スリランカ初の女性建築家となった。生前は地理的・文化的背景に結びついた建築を提唱し、「スリランカ近代建築におけるパイオニア」として知られる。1948年にはアジア人女性として初めて英国王立建築家協会(RIBA)の準会員に選ばれ、1996年にはスリランカ建築家協会から金メダルを受賞した。
同展ではデ・シルヴァさんが設計し、1958年に落成したキャンディの「ワタプルワ住宅計画」に焦点を当てる。多様な民族・宗教からなる政府公務員に、手頃な住居を提供する目的で着手された同住宅計画は、「ユーザー参加型設計プロセスを用い、新たな形態の公営住宅開発の先駆けとして着目された」という。
展示内容は写真、出版物、歴史的資料、インスタレーション、建築図面、模型などで、アーティスト・フィルム「is this an architectural documentary?(これは建築ドキュメンタリーですか?)」も毎日8回上映する。アニメーション、記録写真・フィルム、インタビューを織り交ぜた同フィルムは、同館が3人のアーティストに依頼・制作したもの。展示担当者は「ワタプルワ住宅計画を振り返り、デ・シルヴァさんが及ぼした影響やデザインアプローチの挑戦について考察してもらえれば」と来館を呼びかける。
開館時間は10時~18時。入場無料。期間中、キュレーターによる作品解説ツアーやワークショップ、特別イベントなども毎週行う(要予約)。7月7日まで。