チャンドラグプタ・テヌワラ（Chandraguptha Thenuwara）さんの個展「Delusion（妄想）」が現在、コロンボ7地区の現代アート画廊「Saskia Fernando Gallery（サスキア・フェルナンド・ギャラリー）」（41 Horton Pl, Colombo）で開催されている。

展示作品

　コロンボの映像舞台芸術大学（University of Visual & Performing Arts）の教授も務めるテヌワラさん。政治の透明性や社会変革を追求する活動家でもあり、政治腐敗・社会問題を題材に絵画、ドローイング、彫刻、インスタレーションなど幅広い作品作りに取り組む。特にスリランカ内戦に触発され確立したアートコンセプト「バレリズム（Barrelism）」で高い評価を受け、作品は日本、米国、英国、オーストラリアなどの美術館に所蔵されている。

　テヌワラさんは1997年以来、毎年7月に内戦の犠牲者を追悼する個展を開いている。内戦勃発から40年目に当たる今回の展示では、現在のスリランカの政治情勢を考察・制作した新作品を紹介する。作品を通し「軍国主義、宗教的過激主義、陰謀論、シンハラ排外主義、偏狭なナショナリズム、反西洋的扇動、社会主義といった問題を探求した」という。

　同展のインスタレーションについて、テヌワラさんは「今の社会は妄想に満ち、無秩序で偽りばかり。現在戦争はなく一見平和に見えるが、多くの問題は未解決のままだ。今回は黄色い柱など新たな要素を加えることで、バレリズムの概念を再検討してみた」とコメントを寄せている。

　開催時間は10時～18時。日曜定休。8月23日まで。